整形外科
手外科・上肢外科
「手外科・上肢外科」では、手指から上腕にかけての上肢疾患の治療にあたっています。
当院は日本手外科学会の基幹研修施設に認定されており、手外科専門医である整形外科部長を筆頭に、手外科専従医2名を含む4名体制で診療を行っております。手を含む上肢は、重量物の運搬から、微細な運動まで様々な役割を果たしています。そのため、一度その機能が損なわれると日常生活において、多大な障害を残します。
当院ではその機能の温存、再建を目指し、専門的な医療を提供しております。対象となる疾患は上肢の骨折、靭帯損傷、腱断裂、神経疾患、血管損傷、腫瘍性病変などです。神経や血管などの微細な組織の損傷に対しては、手術用の顕微鏡を使用して再建術を行っております(図1)。また手関節の疾患に対しては関節専用の内視鏡(関節鏡)を使用して治療を行っております(図2)。
図1.顕微鏡下の手術
図2.関節鏡下の手術
手術実績
・年間の上肢手術件数は約400件(抜釘術を除く)
・手指/上肢骨折、神経・血管・腱・靭帯損傷、絞扼性神経障害など幅広い疾患に対応
代表的な疾患
橈骨遠位端骨折
転倒し手をついて受傷することが多い手関節の骨折です。
必要に応じて、手を引っ張って骨のずれを矯正し、ギプス治療などを行います。
骨のずれが大きい場合には手術(プレート固定)が必要になることも多い骨折です(図3)。
当院では骨折の型に応じて、関節鏡を併用した治療も行っております(図4)。
図3.
レントゲン受傷時
整復後
手術後(プレート固定)
CT・受傷時
CT・手術後
図4.関節鏡視下手術
関節鏡で骨の転位を確認
整復後
上腕骨近位端骨折
上腕骨近位端骨折は高齢者の骨折の中で脊椎圧迫骨折、大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折についで多く発生します。高齢者の術後の肩関節は容易に拘縮(関節が動かなくなる状態)に陥るので術後のリハビリ(関節可動域訓練)を早期に開始することが重要ですが、そのためには早期訓練に耐えうる固定性を目指した手術が必要です。手術は主に2通りの術式(図5、図6)があります。どちらも手術の翌日~2日目から専門の作業療法士・理学療法士の指導のもとリハビリを開始し、肩関節機能の回復を目指しています。
図5.髄内釘固定
受傷時レントゲン
CT
術後レントゲン
図6.プレート固定
受傷時レントゲン
CT
術後レントゲン
肘周辺損傷
転落や転倒、スポーツなどで受傷することが多い外傷です。粉砕骨折になることもありますし(図7)、骨折のみならず脱臼や靭帯損傷などを合併することもあります(図8)。肘の動きが悪くなると手が顔や頭にとどかないことがあり、日常生活に支障が生じるため少しでも元の機能に近い状態に回復することが重要です。肘周辺損傷には色々な損傷形態がありますが、状態に応じて治療方法を選択しています。術後は状態に応じたリハビリテーションを行い、場合により装具療法を併用することもあります。
図7.粉砕骨折に対するプレート固定
受傷時レントゲン
受傷時CT
手術後レントゲン
図8.脱臼・靭帯損傷を伴う骨折
受傷時レントゲン
受傷時CT
手術後レントゲン