臨床検査科
臨床検査科
部長:廣橋 一裕
主任:田原 俊和・喜多 領一
副主任:橋本 政宏・藤原 千春
臨床検査技師22名(中央検査室9名・細菌検査室3名・病理検査室2名・生理検査室8名)
看護師(内視鏡室)5名
助手3名(生理検査室)
専任技師による専門特化と365日24時間検査体制による緊急対応
優秀臨床検査室認定(大阪府医師会)
当院臨床検査科は、臨床検査の分野が広いこともあり、オ-ルマイティ-の技師ではなく専任技師による業務体制をとっています。
また、365日24時間検査ができる体制(休日中央検査2名、細菌半日1名、夜間1名)で診療を支援し、迅速かつ正確なデ-タをタイムリ-に提供することをモット-としています。
中央検査室
(主な認定技師)
輸血認定技師1名・NST専門療法士1名・健康食品管理士1名・緊急検査士1名
2級臨床検査士(病理)1名・細胞検査士2名・国際細胞検査士2名
2級臨床検査士(微生物)1名・臨床工学技師1名
生化学・免疫検査、血液・凝固検査、一般検査、輸血検査、細菌検査、病理検査及び外来採血業務を各々専任の技師が担当しています。
臨床検査システムを導入し、電子カルテ・オ-ダリングシステムによる検査運用による検査の迅速化、業務の効率化、患者サ-ビスの向上、情報の発信・共有化を図り、診療部門との連携、一体化を目指しています。
また、院内全ての検査項目について、休日、夜間を問わず24時間緊急検査として対応しています。
(主な緊急検査については30分報告を実施)
各検査分野紹介
生化学検査・免疫検査
生化学検査は、血液中に含まれる成分を測定する事で、肝臓や腎臓をはじめ、各臓器の機能を判断する指標になります。
また、動脈硬化の予防として現在注目されている、善玉コレステロール(HDL)や、悪玉コレステロール(LDL)をはじめ約35項目を院内で検査しています。
免疫検査では、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、HIVウイルス、梅毒等の感染症検査と、癌のマーカー、心筋マーカー、甲状腺ホルモンの検査、血中薬物濃度の測定を院内で行っています。
感染症は、手術の前後など、感染の可能性が考えられるときなどに検査します。
腫瘍マーカーは組織の腫瘍(良性細胞・悪性細胞・癌など)の存在を調べるときに検査します。
心筋マーカーは、心筋梗塞や不安定狭心症など心筋障害の有無を調べる時に検査します。
甲状腺ホルモンの検査は、甲状腺機能低下症や亢進症を調べる時に検査します。
血中薬物濃度は、適切なお薬の投与量を決める為に、血液中の薬物濃度を測ります。
血液ガス検査は、動脈血液中の酸素分圧、二酸化炭素分圧、PH、酸素飽和度、重炭酸イオン濃度などから、肺の機能障害の有無、生体の酸塩基平衡を把握するときに検査します。
測定項目
LDH・AST・ALT・ALP・rGTP・CK・UA(尿酸)・CRP・T-BIL(総ビリルビン)
D-BIL(直接ビリルビン)・AMY(アミラーゼ)・BUN(尿素窒素)・CRE(クレアチニン)
TP(総蛋白)・ALB(アルブミン)・ChE(コリンエステラーゼ)・TG(中性脂肪)
TC(総コレステロール)・HDL-C(HDLコレステロール)・LDL-C(LDLコレステロール[計算法])・Na(ナトリウム)・K(カリウム)・Cl(クロール)・Ca(カルシウム)・NH3(アンモニア)・P(無機リン)・Mg(マグネシウム)・RPR・バンコマシン・ジゴキシン・CK-MB
PreALB(プレアルブミン)・微量蛋白・血糖・HbA1c ・ 乳酸
PO2 PCO2 PH SO2 HCO3-
測定時間
30分
測定項目
HBs抗原・HBs抗体・HBc抗体・HCV抗体・HIV抗原抗体・TPAb・CEA・CA19-9・AFP・トロポニンI・BNP・TSH ・FT4・NGAL・PCT・PIVKA-Ⅱ
測定時間
50分
GASTAT700
Alinity
血液検査・凝固検査
血液検査では、赤血球数・赤血球の大きさ・濃度ヘモグロビン・白血球数・白血球分画・血小板数・網状赤血球数を計測しています。
赤血球数・ヘモグロビン ⇒ 貧血の指標
赤血球の大きさ・濃度 ⇒ 貧血の種類を判別
白血球数 ⇒ 炎症の有無
白血球分画 ⇒ 炎症の原因(細菌性かウイルス性か)
血小板数 ⇒ 出血症状の有無や貧血等
網状赤血球数 ⇒ 貧血の種類の推定,貧血治療の効果判定
白血球分類で、機械が異常値を示した場合に技師が血液をスライドガラスに塗沫し、塗沫標本を染色します。
染色した標本を、技師自身が顕微鏡で異常が無いかを確認して血液疾患(白血病など)の有無を精査しています。
測定項目
赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリット・MCV・MCH・MCHC・白血球数・血小板・白血球分類・網状赤血球数
測定時間
10分(鑑別精査1時間)
凝固検査では、血液の凝固能の検査(PT・APTT・ FDP・Dダイマー)をおこなっています。
PT・APTT⇒ 凝固系疾患の鑑別、ワルファリンやヘパリンの投与量の目安
FDP・Dダイマー ⇒ DICや血栓症の診断基準、血栓傾向の検出
測定項目
PT・APTT・FDP・Dダイマー
測定時間
20分
血液検査 XN-1000(シスメックス株式会社)
凝固検査 CN-3000(シスメックス株式会社)
一般検査
一般検査では主に尿検査を行っています。分析器を用いて外観や比重、PH、蛋白、糖、ウロビリノーゲン、ケトン体、潜血の定性試験を行い、形態検査では尿中の有形成分を顕微鏡下で技師自ら鑑別し結果報告しています。
他にも、コロナ抗原検査、インフルエンザ検査、尿中肺炎球菌・レジオネラ抗原検査、マイコプラズマ抗原検査、溶連菌抗原検査、髄液一般検査、便鮮血、妊娠反応などの迅速検査も実施しています。いずれも当日中に結果報告が可能です。
尿検査
測定項目
外観・PH・蛋白・糖・潜血・ケトン体・ウロビリノーゲン・比重
測定時間
尿定性試験→5分
尿形態検査→15分
輸血検査
緊急の輸血にも直に対応できるように輸血業務は24時間体制で行っています。
安全な輸血療法を提供できるように、血液製剤の発注・保管、血液型検査、不規則抗体検査、交差適合試験、自己血輸血を一元管理しています。
当院で輸血された患者さんには、任意にて血液検査を行い、輸血後感染症の有無を確認しています。
また、輸血前、輸血後の検査データをチェックして輸血療法の効果の確認をしたり、月1回輸血療法委員会を開催し、血液製剤の使用状況や副作用の把握、対策などを検討し、安全で適切な輸血療法の実施に役立てています。
検査は自動輸血検査装置(Ortho VISION®)を使用し、すべてバーコードによる管理を行っています。
輸血検査件数
血液製剤使用状況
細菌検査
細菌検査室では、人のさまざまな検体(血液、喀痰、糞便、尿など)を採取し、感染症を引き起こしている悪い細菌を見つけ出し、その細菌がどんな種類か、またどんな薬(抗生物質)が効くのかを検査しています。
また、大阪は結核患者が多い地域で知られていますが、当院では結核菌検査(塗抹鏡検)を院内にて至急で行っています。
細菌検査室は、入院中の患者さんが病院内で感染症を起こさないように、対策を講じる院内感染防止委員の一員としても貢献しています。
測定項目
一般細菌検査(塗抹鏡検・培養同定・薬剤感受性)
抗酸菌検査(塗抹鏡検)
簡易迅速検査(レジオネラ抗原、肺炎球菌抗原、A群溶連菌、マイコプラズマ抗原、CDトキシン、COVID-19、インフルエンザウイルス、ノロウイルス)
核酸増幅検査(COVID-19、結核菌)
【培地に発育した菌】
尿検体からE.coli(大腸菌)が発育
【細菌検査自動機器】
SIEMENS マイクスキャン
WalkAway40Si
【核酸増幅機器】
GeneXpart
外来採血
当院では外来採血業務に検査のプロである臨床検査技師 も担当し、 採血された血液や尿の検査に関しては、2階の中央検査室で専門的に検査を行っています。バーコ-ド採血管処理システムにより患者の取り違えや採血管の間違いが無い様に管理され、採血したデータは当日の診療に役立つように迅速かつ正確を心掛けています。コロナウイルス等の感染にも充分に配慮し患者さんに安心して採血を心がけています。
生理検査室
(主な認定技師)
超音波検査士(腹部)4名・超音波検査士(心臓)4名・臨床工学技師1名
検査項目紹介
循環器系
- 心電図
- ホルター心電図
- 負荷心電図(トレッドミル・マスター)
- 心エコー(ドブタミン負荷・冠動脈エコー・運動負荷心エコー)
- 頸動脈エコー
- 下肢動静脈エコー
- 腎動脈エコー
- 経食道エコー
- ABI/PWV(フォルムTBIも含む)
神経生理系
- 脳波検査(薬物睡眠脳波も含む)
- MCV・SCV ABR SEP SSEP VEP
消化器系
- 腹部エコー(PEIT・RFA・肝生検を含む)
- 造影エコー
外科系
- 乳腺エコー(吸引細胞診を含む)
- 甲状腺エコー(吸引細胞診を含む)
- 体表エコー(ヘルニア・唾液腺・アテローマ・リンパ節等)
呼吸器系
- 精密呼吸機能検査
※赤字表示は予約検査です。
心カテ室においては、心カテ検査等に常時加わり積極的に関わってDrと密な関係を構築しています。
経験豊富な技師も多数所属していますので、専門医と共に初学の医師を含め研修医・医学生の方の為に的確・適切な指導及びアドバイスを心がけています。 検査機器、検査の場は常にオープンとされていますので、Drの情報収集の場となっています。
(主な検査機器)
心電計・脳波計・フォルム・ニューロパック
循環器系エコー 3台 腹部・体表系エコー 2台 等
心エコ-・心電計
腹部・体表エコー
内視鏡室
内視鏡検査技師3名、看護師1名
救急外来と連携し、緊急検査にも対応できる体制をとっています。
年間検査数は、2014年度で上部約5000件、下部約2500件です。
上部消化管内視鏡検査
★経口内視鏡検査
★経鼻内視鏡検査
★無痛法(鎮静薬使用)
★各種治療
H.ピロリ菌検査、胃ポリープ切除術、ESD、ERCP関連処置、胃瘻造設術、上部消化管ステント留置術など
下部消化管内視鏡検査
★全大腸内視鏡検査(鎮静剤使用)
★大腸ポリープ切除術(10mm以下は日帰り切除)
★大腸ステント留置術
内視鏡の洗浄・消毒はマルチソサエティガイドラインに沿った方法で行っています。
病理検査室
細胞診検査
細胞診検査とは、身体より採取された様々な細胞を標本上に集め、いくつかの工程を経て、顕微鏡で観察出来る状態にして診断を行います。結果が出るまで2~5日位を要します。
扱う検体は、採取時に身体に苦痛を与えにくい尿や喀痰、採取にリスクのある胸水、腹水、心嚢液、胆汁、関節液、体内より直接細胞を採取する擦過材料等があります。処理をして標本になった検体を顕微鏡で観察し、悪性や良性の腫瘍細胞の有無や、寄生虫や真菌による感染症などを細胞検査士と細胞診指導医のダブルチェックにて診断しています。
また最近では、がん治療の遺伝子検査の検体として使用することもあるため、適切な保管管理が出来るように処理をして治療の多様性に貢献できるように努力しています。
病理組織診
手術または検査の目的で採取された臓器、組織などを対象に顕微鏡標本を作製し、詳しい診断を行うことである。
生検は生体の一部から採取した組織を対象に良悪の鑑別などを行う手術材料では性状や病変の拡がりを調べて、術後の治療方針の決定に寄与する術中迅速診断は手術中に切除範囲、組織型を決めるために行われる。
肉眼的レベルの観察から顕微鏡レベル、さらには染色体・遺伝子レベルに至るまでの変化をとらえて病理診断を行っている。最近では分子標的治療薬などの治療薬選択のためコンパニオン診断として個別化医療の実現に貢献している。
また、亡くなった患者について遺族の理解と承諾を得られた後に、死因の特定、疾病の原因や治療効果の検証を目的として病理解剖を行い、病理標本を作製して病理医と臨床医とのカンファレンスを行っている。
検体処理作業台周辺
検体自動処理装置
包理センター(ブロック作成装置)
薄切用ミクロトーム