脳神経外科

脳神経外科

 

脳神経外科

平成20年4月より脳神経外科を再開し6年以上の月日が経過しました。再開当初より地域支援病院としての役割を果たすべく、脳卒中や頭部外傷などの緊急疾患だけでなく、脳腫瘍や脊髄腫瘍といった腫瘍性疾患、水頭症、脊椎疾患、三叉神経痛や顔面痙攣といった機能的脳神経外科など、幅広く診療を行ってきました。その一端をご紹介させて頂きます。


手術治療

再開当初よりカールツアイス社製の最新鋭の手術顕微鏡を導入しその威力を発揮してきました。クリッピング術やバイパス術等の血管外科においてICG蛍光色素を用いることで動脈瘤の閉塞や脳血管の温存を術中に確実に診断してきました。また悪性神経膠腫においてはアラベル®(5-ALA)を用いることで摘出度の向上と脳機能温存に努めてきました。また脊髄腫瘍ではSEP、三叉神経痛や顔面痙攣では聴神経に対するABRの電気生理モニター、内頚動脈内膜剥離術では赤外線酸素モニタリングなど種々のモニタリングを行うことで手術合併症の予防にも努めています。

さらに、昨年より神経内視鏡を導入し、脳出血症例や脳腫瘍生検術では従来よりも低侵襲な手術治療を行うことが可能となりました。また顕微鏡手術においても内視鏡を多くの症例で併用し、より精緻な外科治療を行っています。
このように脳神経外科治療の技術的進歩を果たしてきましたが、今後も最新最良の手術機器を順次導入しより幅広い脳神経外科治療の提供と治療成績の向上、そして低侵襲化をすすめていく予定です。


がん治療

当院はがん診療拠点病院の受けており脳神経外科においても外科治療のみならず悪性神経膠腫に対するテモダール(テモゾロミド)やアバスチン(ベバシズマブ)の化学療法を行っています。

また転移性脳腫瘍などに対する放射線治療について大阪市立大学医学部附属病院、府立急性期総合医療センター、城山病院などと連携して行っています。
定期的な画像検査も外来で行っていますので、脳腫瘍についてご相談があれば当科外来に一度ご相談下さい。

<膠芽腫に対する腫瘍治療電場療法について>
当院では、2020年9月1日よりオプチューン®というデバイスを使い膠芽腫に対する腫瘍治療電場療法を開始しました。これは基本的に患者さんのご自宅で治療を行います。<詳しくは、こちらの資料をご参照ください。画像提供ノボキュア株式会社

また当院では、オプチューン使用のための認定講習を修了したスタッフがおり、積極的にオプチューン® (NovoTTF-100Aシステム)治療に取り組んでおります。詳しい説明や治療をご希望される患者様は当院脳神経外科の外来(毎週火曜、土曜日)を受診してください。またその際にはかかりつけの先生からの紹介状をご持参ください。


画像診断

当院ではMRIはシーメンス社製1.5TのMRIが常時2台稼動しており、うち1台を昨年更新致しました。脳梗塞救急症例においては時間を選ばず迅速な画像診断から速やかな治療に結びつけるだけでなくASL(arterial spin labeling)により詳細な病態把握が緊急症例においても可能となりました。外来診療ではVSRAD(Voxel-based Spesific Regional analysis system for Alzheimer’s Disease)を行い、高齢化が進む当医療圏内におけるアルツハイマー病の診断に役立てています。

CTはシーメンス社製マルチスライスCT(64列)を導入し、明瞭な画像の3次元CT検査により検査の低侵襲化と迅速化が可能となっています。CTも2台稼働しておりますが近年中に1台を更新する予定にしており、今後更に詳細なCT画像検査が行えるものと期待されます。
脳血管撮影装置はにおいても立体的な画像が瞬時に構築することが可能で、手術戦略の検討のみならずカテーテル治療において役立てています。


チーム医療

入院治療においては毎日のようにカンファレンスを行い、得られた検査結果に基づいてチーム内で治療方針を決定しています。またカンファレンスは研修医も交えて行い、神経疾患に対応できる若手医師の育成を行っています。4階北病棟では定期的に看護師主催による勉強会も開催されており、医師だけでなく看護師もまた専門知識の獲得について日々努めています。

脳梗塞や慢性硬膜下血腫等の症例数の多い症例についてクリティカルパスを導入し、さらに脳卒中連携パスを近隣の回復期リハビリテーション病院と活用しています。これにより入院から自宅退院まで隙間のない医療を提供することが可能となりました。
医師だけでなく病棟看護師、リハビリテーション療法士、管理栄養士、病棟薬剤師、MSW、といった診療に携わる全ての職種が意見を交換し、入院治療だけでなく中長期の療養展望についてもカンファレンスを行っています。


脳神経外科は平成23年8月より脳神経外科に特化したNST(Nutrition Support Team、栄養サポートチーム)を始めています。本邦におけるNSTの殆どが全科型のNSTであり各診療科の特殊性には対応しきれない問題があります。神経疾患には摂食・嚥下障害や誤嚥性肺炎を伴う患者様が多いため、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師だけではなく言語聴覚士やICT(Infection Control Team, 感染対策チーム)看護師も交えたチーム編成とし脳神経外科特有の問題に対応しています。全国的にもみても稀少なNST活動を展開しています。脳神経外科NSTでは週1回の回診とカンファレンスを通じて症例毎に栄養サポートを行っていますが、摂食・嚥下障害を有する患者様のみならず、全身麻酔下で外科治療を行う全ての患者様に対して術後の合併症予防と回復促進のために栄養サポートを提供しています。年齢や体力などの問題により脳神経外科治療を諦めていた患者様こそ当科に一度ご相談下さい。


このように私どもはハード面で最新の設備を備えるだけで無く、その能力を発揮するよう人材育成と活用といったソフト面の発展にも注力してきました。
当医療圏内随一の脳神経外科として、これからも最新の医療と強固なチーム医療を地域に提供したいと考えております。
今後とも東住吉森本病院脳神経外科を宜しくお願い致します。


東住吉森本病院脳神経外科
東住吉森本病院4階北病棟
東住吉森本病院脳神経外科NST


部長紹介

礒野直史
脳神経外科部長 礒野 直史

経歴
  • 【平成8年】大阪医科大学卒業
資格
  • 日本リハビリテーション医学会認定臨床医
  • 日本神経内視鏡学会神経内視鏡技術認定医
  • 日本脳神経外科学会専門医
  • 日本脳卒中学会専門医
  • 日本病態栄養学会病態栄養専門医・NST コーディネーター・研修指導医
  • 大阪医科薬科大学臨床教育教授
  • 脳外科学会の評議員
  • 臨床研修指導医養成講習修了
所属学会
  • 日本脳神経外科学会
  • 日本脊髄外科学会
  • 日本脳卒中学会
  • 日本リハビリテーション学会
  • 日本静脈経腸栄養学会